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山田としお メールマガジン202号
TPP対策で韓国を訪問

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       ***山田としお メールマガジン No.202***   
   
                 2010年10月30日発行

        山田としお公式ホームページ
      (http://www.yamada-toshio.jp/)

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             TPP対策で韓国を訪問

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1.きれいになったソウル

  10月27、28日と、急きょ韓国に出かけることになりました。
  
  韓国の対米国や対EUとのEPA、FTAの取り組みの現状や対策を聞き、
菅総理が突然言い出したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参
加検討の対策とするためです。

 ソウルは、本当にきれいになりました。経済成長するというのはこ
ういうことなのでしょう。

初めて訪れた25年前はスラムが一杯でしたが、今は、整然としたビル
やアパートが立ち並び、つい3年前に訪ねた時に較べても街中はきれ
いでした。10日後にG20のサミットを控えているからかもしれません。
 
 訪問議員は、宮腰農林部会長、赤沢農林水産物貿易調査会事務局長、
そして部会長代理の私の3人です。訪問先は、韓国政府の農林水産食
品部、外交通商部、与党ハンナラ党国会議員、韓国農協中央会の皆さ
んでした。

2.欧米FTA対策に10年で2兆円を支出

  韓国は、FTAをチリをはじめとして5カ国と締結し、米国やEUなど7
カ国と交渉中だといいます。チリとの交渉が初めてだったので試行錯
誤もあり苦労があったようです。農業団体の激しい反発もありました。
ここで対策を打ち出し、相当の説得もすすめ、締結にこぎつけたよう
です。締結後4年が経ちますが、経過措置等を講じていることもあり
今までのところは被害も予測の範囲内にとどまっています。しかし、
ワイン等は輸入が増えているそうです。後は、シンガポールやスイス
等の農産物輸出国でないので順調に進んだそうです。問題は、米国や
EUとの交渉ですが、センシティブな品目については関税撤廃の期間を
長くしたり、セーフガードを設けたり、季節関税を設けたりと多様な
手段を講じているということです。米国とのFTAは、まだ正式締結に
至っていませんが、1年で1兆ウォン(約1千億円)の被害を試算して
おり、農業者等からは低い見積もりだという反発もあるようですが、
ともかく、10年間で21兆ウォン(約2兆円)の対策を講ずることとし
ています。また、来年7月に発効するEUとのFTAは、豚肉や乳製品等で
の影響を心配しているが、来月に対策を明らかにするとしています。

3.4点の印象

  チリとのFTA締結時の農業者の激しい反発を報道で見ていた私とし
ては、こうした急速なFTAの進展は驚きでしたが、今回の訪問では、
次のような印象を受けました。
  
  一つは、「先対策後開放」ということで10年間で21兆ウォンの対策
を打ち出すなど、ともかく影響を試算して対策を打ち出していること
です。もっとも規模や内容について意見は多いらしく、韓国農協中央
会によれば、以前から求めてきたものも含まれており、予算規模は十
分でないということです。

 二つは、こうしてFTAが進んだ背景には、農業者が高齢化して、全
体として勢いがなくなってきているのではないかということです。そ
の一方では、経済の高成長で国内需要が高まり、若い農業就業者が畜
産や野菜等で所得を実現できており、不満は出ていないそうです。

 三つは、経済の高度成長に国民全体が納得し、所得や雇用でメリッ
トを得ているという実感があるのかもしれません。最近の調査では、
韓国のGDPの伸びの90%は輸出の拡大が貢献しているといいます。
(ちなみに日本の貿易依存度は30%程度)

 四つは、イ・ミョンバク大統領が一貫して成長路線を進めているこ
とです。

4.多様な農業の共存が基本

 私は、これまで韓国の農協は多くの農業者団体のリーダーとして引
っ張ってきていたのに、最近はその動きが見えてこないことが心配で
した。これは、リーマンショック後の金融再編のなかで、韓国農協中
央会の金融と保険事業が再編を迫られ、日本と違って総合事業を行っ
ている中央会の事業の分離が俎上に上っていることと無関係ではない
のかもしれません。中央会の専務と面談しましたが、韓国の農業も日
本と同様の農業構造のなかで、FTAは、農産物への打撃が一番大きく
賛成できないとし、影響を回避しながら、いかに総合的な対策を実現
してゆけるか、ジレンマを抱えているようにも見えました。

 私が見るところによれば、韓国も、そして日本も、農業の構造改革
は容易に進まず、いかに対策を講じても米国や豪州のような輸出国の
生産性と低価格とは競争できません。関税を撤廃して競争することに
なれば、野菜や果実等の特色のある作物は、消費者の需要もあり存続
できても、主力となる穀物や、それを飼料とする畜産や酪農は、これ
も一部の特色あるものを除き生産を落とすことになります。そのこと
で、地域の活力も失われてしまいます。被害を救済するために所得補
償対策を講じても、それが果たして、伸び伸びとした生産と消費者に
喜んで受け入れてもらい、適正な価格を実現するという喜びを維持で
きるのかどうか心配せざるを得ません。これでは生産者としての意欲
や誇りが長続きしません。

 やはり、強い国だけが生き残るというのではなく、美しい景観、農
地、地域、家族等、それぞれの国が特性を持って存在していること、
そのことと農業は全く表裏一体のものとして存在していることを基底
におくべきなのです。TPPへの参加は、それがありません。

5.日本は馬鹿にされるだけだ

  ところで、TPPに韓国や中国はどう関わってゆくのでしょうか。韓
国の関係者は、米国から参加の要請があったが、関税撤廃を原則とす
る交渉には到底入れず、様子を見ることにしたということです。こう
なると当然、日本にも米国から働きかけがあり、日本のしかるべき場
所が(官邸か外務省か)、普天間問題で信頼が失われた米国のご機嫌
を取ることと、「第三の開国」(菅総理)ということで、何の整理も
ないままに乗っかってしまったということでしょう。これでは、これ
までWTO交渉で各国の多様な農業の共存を主張し、連携してきたヨー
ロッパの国々やEPAを結んできたアジアの国々から、日本は軽蔑され
馬鹿にされるだけです。

 中国がTPP交渉に参加すると言っていることで、マスコミなどは、
これも遅れてはならじとの感度で、日本の加入を促す動きになってい
ますが、頭を冷やしてもらいたい。中国は、米国や日本を牽制するた
めに、この仕組みを壊すか、休眠させるために混乱を持ち込もうとす
るものです。米中のこんな太平洋をはさんだ駆け引きに引きずり回さ
れるのでなくて、本当に、この国をどうするのか、食の安全をどう確
保するのか、安定した美しい国をどうつくるのか、必要な成長をどう
実現するのか、時間をかけて関係者合意のもとに進める方針をこそつ
くり上げるべきなのです。

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