参議院議員 山田としお

全国農業協同組合中央会(JA全中)元専務理事

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         ***山田としお メールマガジン No.263***


                      2012年6月5日発行

                 山田としお公式ホームページ
              (http://www.yamada-toshio.jp/)
 
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       TPP、最大の懸念は6月18・19日のG20
 
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【農水大臣交代の裏にあるもの】

 内閣改造がなされました。野党が一致して問責を決議した田中・
前田両大臣が交代するのは当然ですが、鹿野大臣は、スパイ問題が
出て退任を余儀なくされたのは意外でした。スパイ問題は、中国大
使館の書記官の行為は問題ですが、鹿野大臣にまで及ぶことだった
のかどうか。中国にコメ等を輸出拡大したいとして、民主党の国会
議員の秘書を輸出協議会の代表に据えて、農水省の顧問にまでして
しまい、その代表が、某健康食品会社とのかかわりがあり、その資
金と、書記官のよくある儲け話に乗っかり、中国へのコメ輸出ルー
ト(これまでの輸出窓口とは異なる農業部系の国営企業である中農
集団)を使った食品展示場への出品と販売を考えた。

 そして、輸出品の検疫検査免除といううまい話をうのみにし、従
来から輸出業務を行ってきた商業部系の検疫検査は当然必要との利
益争奪ともからんだ暴露合戦に巻き込まれ頓挫してしまいました。
日中首脳会談時に野田総理をまだ完成していない問題の展示場を視
察させ、総理も巻き込んでしまった。農産物の輸出を何とか拡大し
たいとの意欲はともかく、内容は極めて詰めの甘いものでした。20
万トン輸出できるなどという話には、最初から疑問がありました。

 もっともこの話は、鹿野大臣が党の代表選挙に立候補し相当の票
を集めましたが、その代表選の時の事務所が輸出協議会の事務所と
同じだったり、その協議会の代表になった秘書を雇っていた議員も
鹿野グループだったり、代表選にはその健康食品会社からの応援も
あったのではないのかと言われたりして、これは単に輸出拡大の大
義だけではなかったのではないのかとの疑惑を呼んでしまいました。
私は、自民党時代からの長いおつきあいがあった鹿野大臣には好感
を持っていただけに、この事態は残念です。周囲が悪かったとしか
言いようがありません。


【TPP交渉参加への重しがとれた野田総理】

 ところで、私が懸念するのは、この鹿野大臣の更迭で、TPP交渉
参加に向かう閣内での歯止めが失われたことです。鹿野大臣は一貫
してTPPの内容に疑問を持ち、「今の段階は、情報を得るために協
議しているだけであり、その情報も国民的な議論も不十分だ」との
姿勢を維持していました。だから、4月30日の日米首脳会談直後に
カトラーUSTR代表補が来日し、秘密裏に自動車問題に関する10項目
について関係方面と協議していることについて、情報が明らかにさ
れていないと玄葉外務大臣に対して注文をつけていました。私の予
算委員会での質問に対しても、鹿野大臣は、今まだ情報を得て国民
的な議論を行っている段階であり、結論を得る状態ではなく、当然
局面が変わる時は、関係閣僚会議は必要だと明言していました。

 ところが、野田総理とすれば、代表選の決選投票で、上着を脱い
で合図し、野田支持をグループ内の議員に意思表示し、野田総理誕
生の生みの親となった鹿野大臣を軽々に扱えないし、TPPでも鹿野
大臣は無視できない存在でした。とすると今回の更迭は、いいきっ
かけだったはずです。こう考えると、今回の鹿野大臣追い落とし戦
略は、もしかして、TPPを何としても進めたい経済産業省や外務省
等のリークや謀略があったのかもしれません。
野田総理は、18日にはメキシコにおけるG20サミットでオバマ大統
領に会うはずです。先週のTPP参加即時撤回を求める会での私の追
求に対して、外務省は、首脳会談はセットされておらず、ましてTP
Pが議論になるとは言えない、としていました。しかし、首脳会談
が無いなんてことはないのであって、その場合、懸念されるのは次
のことです。


【4月30日の首脳会談では自動車についてかなりの意見交換】

 一つは、4月30日の日米首脳会談では、オバマ大統領から自動車、
保険、牛肉について言及があったものの、野田総理からは、高い水
準の経済連携を進めると従来通りの方針を述べただけという報道に
なっていましたが、実は自動車について相当の主張がオバマ大統領
からなされていたようなのです。その点は、衆議院の社会保障と税
の一体改革特別委員会で、自民党の橘議員の質問に、野田総理は、
会談ではオバマ大統領から「いろいろなアイデアが出された」こと
と、帰国後に関係者による非公式な意見交換がなされていることを
認めています。やはり突っ込んだ話があったのです。

 二つは、6月1日のTPP参加即時撤回を求める会での、役所サイド
の情報隠しに各議員から激しい憤りの発言が続き、結局、内閣官房
は、自動車についての米国側の関心事項を出すことを約束させられ、
会議終了後、「透明性」「流通」「技術基準」「認証手続き」
「新/グリーン・テクノロジー」「税」の6項目が論議になっている
ことを明らかにしました。当然、これらのことをもっと具体的に国
内の自動車業界等と協議しているのは確実です。日本車の米国向け
の輸出は150万台、北米での現地生産は350万台、一方、米国からの
輸入はわずか9000台というのはあまりにも少ない。米国は、日本に
は米国車を売らない規制があると批判しますが、米国は日本に米国
車を得る努力をしているのかと言いたい。

 この自動車の膨大な輸出の見合いで、日本は米国から膨大な飼料
穀物等農産物を輸入してバランスを取っているわけで、経団連等が、
もっと輸出したいのに、それが出来ないのは農業サイドが関税撤廃
を拒んで入れないようにしているからだというのは、いわれのない
攻撃です。もう十分入れているのであって、入れないようにしてい
るのは日本の国土での生産を維持しなければならないごくわずかの
品目だけなんだ、ということを経済界はきちんと理解すべきです。
制約された国土の条件を踏まえて、少なくともそれぞれの産業の多
様な発展のあり方を考えるべきだ、ということを言いたい。

 三つは、このままでは、オバマ大統領の申し入れに対して、野田
総理が、自動車で妥協をしかねないという懸念があります。例えば、
米韓FTAで韓国が押し込まれたように、米国の各自動車メーカーご
とに2万5000台分を米国の安全基準等に合格しておれば無条件で韓
国が受け入れるというような妥協です。ミニマムアクセス米ならぬ
ミニマムアクセスカーという妥協です。


【怖いのは、日本の判断なしでの米国の議会通知】

 四つは、これらのことで、オバマ大統領の要請に答えたというこ
とで、日本側が、TPP交渉に参加するとわざわざ言わなくても、米
国側が日本は入場料を払ってくれたと受け止め、ともかく議会に日
本との交渉の是非について伺うべく通知するという作業に入るとい
うことです。

 この通知がなされた後は、まさに議会関係者からの様々な注文を
3カ月にわたって聞くことになります。それら注文を聞いたうえで、
議会から、日本との交渉に入っていいとの了承を得ることになりま
す。その時期である9月は、オバマ大統領の選挙がまさに佳境に入
っている頃で、輸出の促進と雇用の確保が争点になっているでしょ
うから、わが国はさらなる攻撃と妥協が求められることになります。

 五つは、怖いのは、日本の閣僚会議での態度決定なしで米国の判
断によりなし崩しで交渉参加してしまうことです。これは米国側の
ペテンでも何でもなくて、要は、昨年11月の時点で、すでに日本は
米国に対して参加したいと表明し、米国はそれなら条件が必要です
よと言い、それが自動車と保険と牛肉だったということです。

 保険は、日本郵政の社長が、米国の保険会社が危惧する「がん保
険には当分の間参入しない」と言明することで終わっており、牛肉
は、米国でBSEの4頭目の発生があったため、米国は強く要請できな
いとしながら、しかし、しかるべき時期に食品安全委員会の答申を
得られるものとの日米の暗黙の合意があるのでしょう。


【郡司大臣への期待】

 この図式は、余りにもうがちすぎかもしれません。

 また、社会保障と税の一体改革の扱いが焦点になっている時に、
野田総理にはTPPを判断する余裕がないはずだという見方もありま
すが、この混乱の中でこそ、外務省や経済産業省のシナリオがその
まま通ってしまう危険があることを私は恐れます。

 郡司農水大臣は、この渦中で就任されました。郡司さんなら、黙
って見のがしてくれるのでないかとタカをくくっている輩がいると
いうことです。郡司大臣、想像力をたくましくして、早く気付いて、
この危惧をなかったものにしてください。期待して、祈る気持ちで
す。



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