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山田としお メールマガジン417号
JFグループが漁業権を維持─漁業法の改正で、参考人質疑を行う─

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    ***山田としお メールマガジン No.417***


                     2018年12月10日発行

                山田としお公式ホームページ
            (https://www.yamada-toshio.jp/)

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        JFグループが漁業権を維持
      ─漁業法の改正で、参考人質疑を行う─

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【多くの課題を抱える日本の漁業】

  今臨時国会の最終局面で、農林水産委員会で質疑に立った。
 まさに、漁業法改正問題は、4年前の平成26年から、当初は、国
家戦略特区ワーキンググループと、そして後半は、平成29年から、
JA改革を提起し、JA攻撃を繰り返した規制改革推進会議ワーキ
ンググループとの間で、やり取りがなされてきた。議事録を読むと、
JA改革の名のもとに、JA攻撃を行った手法と全く同じ形で、全
漁連を中心とするJFグループに水産改革を迫ったのが漁業法等の
改正問題だ。そして、その内容たるやJA改革攻撃と同じように、
JFグループに対して、漁業者に競争を促し、それが出来ないなら、
株式会社を参入させる、という構図で、漁業の合理化、効率化を迫
るものだった。
 私は、こうした構図を明らかにするべく質疑を行いたかったが、
わずか15分しか時間をもらえず、とうてい十分な質疑は出来ない。

 そこで、以前は、世界一の漁獲高を誇った水産国日本だったが、
今や大きく後退し、その背景に、地球規模での漁獲高の減少や、開
発による浜の崩壊、そして、漁業者の高齢化、漁船の減少等の問題
があることを念頭に置きながら、これらにどう対処するか。
 また、漁業は、浜の漁業である養殖や、定置網等の沿岸漁業、さ
らに沖合・遠洋漁業に分かれる。前者は、埋め立てや、浜の汚染等
があり、後者は、200海里の設定問題や、途上国の乱獲等の問題が
ある。ましてや我が国においては、担い手の高齢化や大型漁船の減
少、海外からの輸入の拡大等で、漁獲高は世界10位前後に落として
きている。そして、さらに生じている問題は、燃油の高騰であり、
魚価の低迷である。また、採集し、漁獲した魚等の、加工・販売の
仕組みの変化等の問題もある。

 さらに、漁業の特色は、漁業者に割当てている漁業権であり、漁
獲が確保できた時代は、大きな財産でもあったが、今は、必ずしも
有効に活用されずにいるという問題も抱えている。一方で、国民の
食の源としての漁業の役割と価値は、増している。

 そこで、出てきているのが、資本を持った企業の商品開発と販売
等への参入問題であり、輸入や輸出も含めて事業範囲は大きく拡大
し、変化してきている。

 これにどう対処するか。休眠も含めて、漁業権を持つ漁業者グ
ループや漁協等が、どう活性化できるのか、出来ないのなら合理化
する、そして資本を持った企業が、外国資本の企業も含めて参入す
る。そこに、規制改革推進会議等に参集する特定の委員のねらいも
ある、という構図が見えてきていた。


【漁業権の扱いが焦点に】

 ところで、今回の漁業法改正で、焦点になったのは、漁業権の扱
いだった。水産庁は、規制改革推進会議と、そして、当事者の全漁
連は、水産庁との攻防を繰り広げてきていた、ということなのだろ
うと思う。
 もちろん、遠洋漁業、沿海漁業、浜の漁業等、形は大きく違うわ
けだが、それぞれに、多様な形で、漁業者も、そして漁業者の組織
である漁協が関わってきていた。そうした中で、JF全漁連は、命
綱である漁業権を、これまでと同様に、法制上、維持したのである。

 私は、国家戦略特区のワーキンググループと、規制改革推進会議
の水産ワーキンググループの前後4年にわたるやり取りを議事録で
読ませていただいたが、水産庁と、全漁連はじめJFグループは、
大変な苦労をされてきている。そうした中で、何とか、漁業権を漁
協の事業として確保したということです。とはいうものの、JFグ
ループとしては、その運用による成果をどう実現していくか、相当
の苦労を行うことになると思う。
 また、地方の各漁協との関連では、その漁業権を、連携する漁業
者等との取り組みの中で、どう有効に活用し、成果を出していくか、
とりわけ、担い手の高齢化もあるし、漁船の整備、高度化、加工・
販売、労力の確保等で乗り越えるべき困難が一杯ある。何としても
乗り越えて、浜の活性化をはかってほしい。


【極めて乱暴な国家戦略特区会議と規制改革推進会議の主張】

 国家戦略特区会議、規制改革推進会議、とりわけ、水産業のみな
らず、農業についても、最も市場原理を主張してきている主要メン
バーは、水産庁や全漁連に対して、以下のような、暴論を展開して
いるのであって、こうした主張をどう受け止め対処していくか、し
っかり理論武装して、ともに連携して対処していかなければならな
い。でないと国の将来を誤りかねないからである。
 以下、国家戦略特区会議、規制改革推進会議における、急進派の
発言である。我々は、これをどう評価し排除するか、しっかり考え、
また反論してゆかねばならない。

・漁業権を有効に活用していない、日本は、漁獲量を減らしている
・漁業権の閉鎖性に問題がある、それは、経営能力と関係なく許可
を与えてきたからだ
・そのため、戦後70年、わが国の漁業は衰退一途だ
・それは、漁協に漁業権を優先順位一位で与えてきたからだ、特に
問題は養殖の漁業権だ、また、それを保証の対象にしてきたからだ
・漁業権の付与を漁獲高とは関係なく与えてきたからだ
・少人数の漁業者で漁業権を持てばいい
・漁協は、前近代的なやり方で漁獲している
・自由な漁業が出来る形にすべきだ
・新規参入し、競争させるべきだ
・入札の割合を増やすべき
・特定の力のある漁業者に権利を移す(売却する)べき
・民間資本を参入させるべき
・漁業権を売買できるようにし、力のある人や会社にやらせて効率
をはかるべきだ
・漁業権の売買を可能にすべき
・養殖業への企業参入による資源保全をはかるべき
・漁協は、入札で漁業権を取らせればいい
・JFを第1順位にすべきでない
・浜の漁業者でなく、他の地域から来た人がいい
・漁協と同等に企業に権利を与えるべき
・漁業権を適切に有効に活用するなら、企業参入を進めるというこ
とでないのか
・漁船のトン数を拡大し、大型化すべき
・特定区画漁業権の免許の優先順位の見直しを行うべき
・企業を入れることで販売を含めて水産資源を一番うまく活用でき
る
・漁協という民間団体に、公的権限を与えるのは問題だ
・漁業権は入札で配分すべきだ
・法人の参入を何としても拡大したい
・会社にやらせた方が漁協よりも組合員の利益を守れる
・会社とJFを競争させるべき
・JFが先頭に立って、漁業権を有するのでなくて、他に与えるべ
き
・一番金を払った人が使える、というやり方が一番いい
・共同利用している漁場は、どうしても管理調整が必要だから、利
用が十分でない
・全国入札をやるべきだ、これが当たり前のことだ
・公共財である海を、まさか昔からやっているというだけで特定の
人が独占している、これは海外ではありえないことだ
・生産組合の要件になっている7人以上という構成メンバー数や、
生産割合の要件を撤廃させる、ないしは見直すべきだ

 長くなってしまいましたが、しかし、これはまだ一部なのです。
かくのごとく、規制改革等の委員の発言は一方的であり、過激で、
かつ執拗なのです。それを分かっていただくために、紙幅を使いま
した。ところで、「反論はなかったのか」のご意見も当然あろうか
と思います。当然です、反論は、水産庁と全漁連が、遠慮しながら
もきちんと行っています。

・秩序を持った漁業こそ有効利用と生産力の増大につながっている
・地元の事情に精通した漁協が最適任だ
・狭い漁場を各漁業者が総合的に利用する、そうした調整機能をJ
Fが果たしている
・自治体は行政コストがかかりすぎて無理だ
・複雑な漁業は、多数の漁業者が関係することからしても、地域に
根差した実績があるJFが適任だ
・複雑な漁業(とりわけ養殖)は、多数の漁業者の関係からしても、
地域に根差した実績があるJFが適任である(水産庁の発言)
・共同の漁場利用がなされているところは、管理調整主体のJFが
いて、全体を管理しており、有効利用と活用につながっている(水
産庁の発言)
・漁場の使い方を決めるのは、話し合いだ、どう公平性をもって、
利用し活用するか、それをオ−ソライズすべきだ(水産庁の発言)
・こうした調整をJFによる話し合いで合意する、これが基本だか
ら問題が生じていない


【大切な日本を地域を守るため、全力を挙げましょう】

 長いメルマガになってしまいました。お読みになってお分かりだ
と思いますが、規制改革推進会議からの主張は、各委員が、漁業に
も、農業・農協にもかかわっていて、JA改革問題の時と同様、厳
しい発言を行っています。

 しかし、漁業については、水産庁の担当者が、現場の実態を踏ま
えたうえで、きちんと意見を述べているように受け止めることがで
きました。JA改革の時は、農水省の意見が、規制改革推進会議の
委員と同じ意見で、むしろJA攻撃をあおっていたのではないか、
との印象を受けたくらいでした。これも厚い議事録を読んでの私の
受け止めです。

 しかし、難しい漁業権の扱いについては、これから政省令や、運
用いかんで、多くの議論が出かねませんし、漁業者や浜の実態とし
て、困難な課題が多く、運用緩和が進みかねません。しっかり議論
し、JF漁協と漁連がまとまって、漁業者の力になる取り組みに、
全力を挙げていく必要があります。 

 ともかく、資本を持っているものが独占利用できるという資本の
論理で進めるのでは、国は壊れます。
 逆に言うと、いつ頃から、どんな論理で、国民の公共の海を共同
利用により保全してきた漁業者や地域の人を排除してしまうような
論理の展開がなされるようになってしまったのか、これだと日本は、
地域は、浜は、破壊されます。

 困難な課題を多く抱える日本の地域に存在する協同組合として、
JAグループも、JF全漁連も、そして全森連も、さらなる連携を
強め、いい日本、いい地域、いい農林水産業をつくり上げようでは
ありませんか。
 私も頑張ります。


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