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山田としお メールマガジン197号
「経済」をめぐる二つの懸念

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       ***山田としお メールマガジン No.197***   
   
                 2010年9月13日発行

        山田としお公式ホームページ
      (http://www.yamada-toshio.jp/)

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               「経済」をめぐる二つの懸念         

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1.書店に溢れる経済書
 
 民主党の代表選挙に狂奔する議員と違って、野党の私は、時間が
あったので久しぶりにじっくり時間をかけて東京丸の内の本屋・丸
善をのぞきました。
 
 私が買いたかったのは、「奪われる日本の森―外資が水資源を狙
っている―」(新潮社)であるが、店内は入口から奥まで、金融・
経済政策はじめとする憂国の書で埋まっていました。いわく「日銀
デフレ」「大不況」「新たな金融危機」「通貨・為替」「リーマン
ショック」「アメリカの謀略」「都市と貧困」「危機の日本」等々
です。

2.民主党の経済対策は無策

 確かに、わが国はこれまで米国に次いで世界第2位の経済大国で
あり、一人当たりの国民所得も世界の上位に位置していました。そ
れがGDP(国内総生産)では中国に抜かれ、一人当たり国民所得も2
0位以下になってしまいました。この20年間、ほとんど経済成長し
ていない「失われた20年」と言われる原因は何か。国内消費の停滞、
技術開発の遅れ、雇用の高コスト化、工場の海外への流失、金融政
策の失敗、高齢化と人口減少、財政赤字、社会保障費の増大、無駄
のまん延、省益と天下りの官僚制度、教育の荒廃、経済の国際化の
遅れ、国際金融の謀略等々が挙げられます。
 
 そして、政治の不安定や無策があります。日銀もダメ、官僚もダ
メ、学者もダメ、経済人もダメ、マスコミもダメでは、一体この国
はどこへ行くのでしょうか。民主党の代表選挙がマスコミを奪って
しまっており、それ以外の話題は、連日の酷暑とプロ野球の首位争
いしかありません。

 民主党の代表選は、円高が進み、企業関係者が悲鳴をあげている
にもかかわらず、同じ党でかくも争うのかと驚きです。とりわけ、
増税しかないという主張と、増税は全く反対という主張が真っ向か
ら対立しています。しかし、無駄を省き、規制緩和し、国際化を進
めることについては一致しています。丸善の入り口の多数の著作の
表題は、「政治は弱くて力にならない」というものと、「政治の
リーダーシップがないと方向は定まらない」というものに二分され
ていました。

3.危うい民主党の成長戦略

 こうした中で、私の頭をとらえて離さない懸念が二つあります。
 
 一つの懸念は、『今のわが国の低迷を克服するために経済の成長
は必要だ。構造改革も、規制緩和も、国際化も、雇用の安定も、格
差の是正も必要であり、これによって国内の需要を増大させること
も、農産物の消費の拡大も価格の上昇も可能になる』という主張で
す。
 
 ところが、この主張は同時に、『国際化を進めるにあたっては、
他国との経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)が必要であり、
農業については、日本の高品質な農産物を売れるようにすると同時
に、他国の農産物の輸入も可能とする関税の引き下げや輸入割当数
量の拡大を引き受けざるを得ない。そのために、農業の構造改革と
企業の参入もすすめ、競争力を強化する』というものを含んでいま
す。

 民主党政府は、経済界や労働組合等をメンバーに(農業界は入っ
ていない)、新成長戦略実現会議を開催し、EPAについては、11月
のAPEC首脳会合までに取り組み方針を決定するとしています。菅総
理もメンバーの関係閣僚会合でも、EPAの議論が進められており、
岡田外務大臣や直嶋経済産業大臣が積極的で、山田農水大臣が抵抗
するという構図と聞きます。
 
 懸念は、「戸別所得補償で補てんするのだから市場開放してもい
いはずだ」ということになってしまっているのではないかというこ
とです。農水官僚と大臣が、過剰米対策に手を打たず、「自由に販
売していいのだ」ということで米価の引き下げを放置するのは、市
場原理の導入を進め、EPAに向けた環境の整備をはかる意図がある
のではと心配しているのは、民主党政府にこんな背景があるからな
のです。

4.懸念される経済成長優先の政界再編

 もう一つの懸念は、政界再編がその方向で進むのではないかとい
うものです。私には、民主党の代表選がどちらの勝利になっても、
民主党と自民党の経済成長派による再編になり、農業の市場原理の
導入が大々的に進められるのではないか、という心配が消えません。
 
 ただし、自民党が今回提案した、緊急経済危機対策(総額5兆
円)は、「内需・外需にけん引された力強い経済成長を達成するた
めの、EPAやFTAなどの先進国・新興国を含めた諸外国のニーズを踏
まえた相互協力関係の構築」と慎重な言い回しであり、「地域経済
を支える農林水産業の基盤強化」で盛り込んでいる「米価下落に対
応するための緊急需給対策(500億円)」等との関連を念頭に置い
たものになっています。

 しかし、困難な我が国経済のなかで、アジアや世界の需要を受け
とめる経済成長政策を主張する動きが、与野党で急速に高まってい
ることは事実です。農業やコメに関心を持たなくてもいい状況にい
る政治家や官僚や経済人は、冷徹にこのことを見据え期待している
のではないでしょうか。この懸念は消えません。
 
 日本型の、そして世界各国の多様な農業の共存をめざす取り組み
が今こそ必要なのです。


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