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山田としお メールマガジン407号
「過去20年の農政のあり方を考える」―地域の農林水産業振興促進議連、生源寺教授からヒアリング―

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    ***山田としお メールマガジン No.407***
 

           2018年5月7日発行

        山田としお公式ホームページ
       (http://www.yamada-toshio.jp/)

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            「過去20年の農政のあり方を考える」
―地域の農林水産業振興促進議連、生源寺教授からヒアリング―

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 来年の参議院選挙への候補者を定めるという全国農政連の予備選
の取り組みで、全国を駆け回っています。国会開会中で、当然国会
の日程が入りますから、空いた時間を使って、各県のJAビルを訪
ね、会長さんや関係者に挨拶しています。休日はご自宅をお訪ねす
るのは遠慮があり行けませんし、何せ、私と私の後援会の幹事長の
二人で手分けして回るだけなので、限りがあります。一人で動くの
は慣れていますが、きちんと挨拶できないでいる会長さんはじめ皆
さんに申し訳なく思っています。

 ところでお会いした皆さんからは、3月に設立した「地域の農林
水産業振興促進議員連盟」の取り組みを評価していただいています。
私は事務局長ですが、竹下会長(総務会長)、森山顧問(衆議院国
対委員長)、吉田顧問(参議院幹事長)、吉川副会長(党農林・食
料戦略調査会会長代理兼幹事長)、宮下幹事長の面々がそろってい
るからかもしれません。もちろん、基本的かつ時宜を得た取り組み
だという評価をいただいています。メンバーも100人近くになって
います。

 4月23日の2回目の会合では、長きにわたり、食料・農業・農村政
策審議会の会長を務めていただいていた生源寺眞一先生(前東京大
学教授、現福島大学教授)から、「農政のあり方を考える―過去20
年を振り返って―」を、お聞きすることとした。

 私自身は、連休中で、気は焦りながらも身動きできない状況の中
で、改めて、先生の報告をテープで聞き、現下の農政の課題と、先
生の問題提起と危機感を認識させられたので、あくまで、私自身の
感度で、それをまとめさせてもらいました。

 これらの課題に、しっかり取り組むべく、引き続き、私に役割を
与えていただきたいと存じます。頑張ります。
 なお、先生からのお話と議員とのやり取りの全文は、テープを起
こして、私の事務所から近日中に各都道府県の中央会へお送りする
こととしています。


【ここ20年で、大きく振れた農政、政権交代も原因】

先生の指摘は、以下の点でした。
(1)ここ20年間に、次のような変化で、政策の大きなブレが生じ
ていることだという。

・1999年の食料・農業・農村基本法制定以降、2007年の参議院選挙
で自民党が大敗し、2009年に民主党政権に移行し、兼業農家や小規
模農家も含めて支援する戸別所得補償制度を採用した。
 しかし、その後の民主党政権下で、2010年にTPP参加への前向
きな動きが出て、民主党政権でありながら、農政の方針が大きく変
わった。

・その後、2012年に、第2次安倍政権に移行し、再度の政策転換が
生じた。TPP交渉から、合意へと進み、成長戦略を高く掲げた政
策が前面に出ることとなった。

・そして、最も大きいのは、一つは、農政の進め方が、農水省から
ではなくて、産業競争力会議や規制改革会議から提起されることと
なった。水面下の調整はあるのだろうが、少なくとも農水省の外側
から提起されることとなった。食料・農業・農村基本法の路線から
外れてしまった。要は、政策の目まぐるしい振れが生じたというこ
とだ。

・とりわけ、政策の振れが著しいのは、担い手に対する政策だ。
 2007年にスタートした都府県で4ヘクタール以上(北海道は10ヘ
クタール以上)経営と集落営農を対象とした、自民党の経営所得安
定対策を、選別政策と批判していた民主党が勝利する中で、戸別所
得補償制度を導入したことだ。もっともその後、自民党が政権に復
帰し、市町村特認制度を設けることで対象を拡大した。

・次に政策の振れが大きいのは、生産調整とのかかわりだ。
 民主党は2010年に、コメの生産調整への参加を条件として戸別所
得補償制度を導入した。そして、自民党が政権復帰後の2013年に、
産業競争力会議が、生産調整の目標達成と連動させない自主的な生
産調整の取り組みを打ち出し、まさに、2018年の今年から連動が外
された。


【法律に基づかない政策転換が進む問題】

(2)農政の進め方で、次に大きいのは、わが国の政策が、実質的
に、予算措置や行政指導により推進されるようになってきたという
ことだ。
 この点は、あくまで法律に基づいたEUなどの農政推進とは対照
的であるということだ。まさに、コメの生産調整は、食糧法に明記
されているにもかかわらず、行政指導と予算措置だけで、今まさに
進められている。

(3)農政の進め方で、さらなる問題は、農地制度をめぐる政策の
転換です。
 農用地利用増進事業からはじまり、農地利用増進法を経て、農業
経営基盤強化促進法など、いくつかの事業と法律により、農地法に
よる貸し借りよりも、認定農業者に農地を集約することが政策目的
になっていることです。

 そして今、農地所有適格法人制度をつくることで、企業の農業参
入を大々的に進めることとなっている。そして、その完成版が2013
年以降の農地中間管理機構法(農地バンク)による農地の権利移動
の促進措置ということだ。これが、各県ごとの成果を争うような形
で推進されている。

(4)担い手の高齢化と新規就農者の確保対策です。
  2016年の新規就農者の50%は、60歳以上の層です。特徴として、
40歳未満の半分近くが非農家出身です。安倍総理は今年の所信表明
でも、40歳代(49歳以下)の新規就農者は5年連続2万人を超えたと
成果を誇っておいでだが、75歳以上が全体の就農者の3分の1の48万
人を占めている実態では、5年後には48万人が80歳を超えるので離
農し、そのうち若手の新規就農者で10万人しか補充出来ないのです。
 そして今、外国人の実習生を農業にも大々的に拡大せざるを得な
い実態にあります。


【コメ政策も食糧法に基づかないで転換】

(5)そして今、最も深く進行している問題が、国が生産調整の目
標を配分しないことの問題です。JAグループ等関係団体は、全国
農業再生推進機構(全国組織)をつくり、「マーケット・イン」
「マッチング」という、要は、需要に見合った生産・流通・販売の
結びつきを行うということで、各生産者が、水田活用の交付金や飼
料米対策を活用しながら、ナラシ等の経営所得安定対策(来年度か
らは収入保険制度も動き出す)に加入しながら、取り組むこととな
る。
 心配は、豊作が来たとき、米価は大きく下がることとなる。総額
50億円の米穀周年供給・需要拡大支援事業が講じられており、過剰
時には、翌年に販売を繰り延べたり、加工用や輸出用等へ仕向ける
対策も含めて準備されてはいるが、自由な生産・流通・販売の世界
に入っていくことになることです。心配は、豊作が来たとき、米価
は大きく下がることになります。これにどう対処するか、大きな混
乱を生みかねないことだ。

  この点は、生源寺先生は、踏み込んでおっしゃらなかったが「法
律上は、食糧法に生産調整に関する条項が残ったままになっていま
す。目標数量の配分や、生産調整の基本方針を策定するということ
が法律上は生きています。そのなかで、目標数量の配分をしないと
いうのは、緩いシステムであると言わざるを得ません」「見直しの
目的としては、消費者や実需者のニーズにこたえる生産を助長する
こと、担い手の農業経営をサポートし、若者や働き盛りの就農者を
バックアップすること、水田農業の持続性を確保すること、2007年
に経験したようにコメの生産が極端に増減する事態を回避すること
が必要です。どちらに振れても、大きな事態になりかねないとの思
いです」と、先生らしく慎重な言葉ながら、深い懸念を内に込めた
言い方をされていた。


【規制改革推進会議による単純極まりない農協攻撃】

(6)最後に、農協改革について、農協としての3つの顔、すなわ
ち、
1.協同組合としての農協であること
2.制度や政策に対する強い影響力を行使する組織としての農協であ
ること
3.農政の実施過程に関し、現場で農政を支えてきて、行政に頼りに
される組織としての農協であること

 それぞれの役割について整理が必要で、ひっくるめて農協は悪い
のだというのは、いささか単純すぎると思う。
  それにしても、協同組合の目的を国が定めるというのは違和感が
あり、自主・自立、組合員による民主的運営といった協同組合の原
則から逸脱している面があると思う、と述べておられる。


【一度立ち止まってゆっくり考えるべきと提言】

(7)加えて、産業競争力会議や規制改革推進会議からの提起につ
いて、農政の議論というのは内輪の議論になりがちであるというこ
とからすると、外側からの問題提起として風穴を開けた面もありま
すが、その問題提起の多くは、短期的な成果主義と成果誇示のスタ
ンスが強いのではないかと思います。政策が目指す、ビジョンの具
体像や検討プロセスに関する対外的な説明は不十分だと思う。加え
て、政策転換に伴うリスクを回避する姿勢が弱まっている印象を持
っている。「壊しさえすれば良くなるといった議論すら聞こえてく
る状態にある」「短期的な成果主義は問題がある。矢継ぎ早に打ち
出される改革について、事後的な検証・評価が不可欠であり、また、
政策形成のプロセスが見えにくい点も気がかりだ」と、遠慮されな
がらも率直におっしゃっている。

 そして、「実際には、政策審議会がきちんと議論しなければなら
ない場が結構あったが、ほとんどされなかった。既存の、そういっ
たシステムそのものを活かすのは大事だ」「一度、立ち止まってゆ
っくり考えてみようというようなことが必要な時期に来ているんじ
ゃないか、という感じがする」とおっしゃっている。
 全く、同感です。私は、先生の提言をしっかり活かすべく、全力
を挙げます。


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