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山田としお メールマガジン453号
自由民主党水田農業振興議連における安藤光義先生講演(令和3年2月25日)の概要(山田俊男事務所作成)

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         ***山田としお メールマガジン No.453***

                 2021年3月8日発行

              山田としお公式ホームページ
            (https://www.yamada-toshio.jp/)

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        自由民主党水田農業振興議連における安藤光義先生講演
         (令和3年2月25日)の概要(山田俊男事務所作成)

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 令和3年2月25日、私が幹事を務める党の水田農業振興議員連盟を開催し、その会合では、
コメの生産・流通・需給の取り組みや政策の推移と今後の方向等について、多くの著書が
ある東京大学大学院の安藤光義先生に「水田農業をめぐる主要論点について」と題した講
演をいただきました。
 大変示唆に富んだ内容であり、その概要を紹介させていただきます。

【安藤先生講演概要(山田俊男事務所作成)】

(Ⅰ 食料・農業・農村基本法の政策体系の検討)

・ (1)食料の安定供給の確保、(2)多面的機能の十分な発揮、(3)農業の持続的
 な発展、(4)農村の振興の4つをバランス良く実現することが新基本法の政策理念。
 しかし、実際は矛盾が生じている。
・ 農村の振興・活性化が必ずしも農地の維持・確保にはつながらない。儲かるようにす
 るには、コメから脱却することが重要であり、農村の振興において雇用創出ということ
 だけで言えば、農業以外の産業を興すことがいいこともある。
・ このような方向に進むと「儲からない水田はやらない」ということになってしまう。
 それを緩和するために、中山間地域等直接支払制度や、ため池基本支払いのような制度
 が措置されてきた。他方、水田率が高いところほど、農地は維持されている。しかし、
 コメでは儲からない。このような矛盾が現場では生じている。
・ 中山間地域で集落営農が多く作られているが、これは構造政策というよりも、農村の
 維持発展、農村の振興のほうにむしろ重心がある。生産調整のための話し合いの場が集
 落ごとに設けられており、この集落の活用こそが、私は日本の農政の伝統であり、肝と
 考えている。生産調整はその典型であった。
・ 生産調整の政策を徹底し、それを農協が受け止めて、水田農業ビジョン、集落営農ビ
 ジョンを作りあげ、生産調整とともに水田農業を立て直してきた。食料の安定供給と密
 接な関係にあった転作政策の推進・調整という役割を集落が果たしてきた。
・ 2000年前後の当時と比べ、集落も弱ってきている。中山間地域等直接支払制度の面積
 も伸びない。農村の在り方をもう一度考え直すべき時にきている。

(Ⅱ 2000年以降の水田農業政策の展開過程)

1.水田農業政策予算の推移〜CAP改革との比較〜
・ 2000年以降の水田農業政策の展開過程について、ポイントは価格支持から直接支払い
 への転換が進んできたということ。水田維持支払いとしての性格を強め、大規模経営ほ
 ど助成金への依存度が高くなってきている。
・ 転作助成金は、コメの需給調整だけでなくて、水田保全としての役割も果たしていた。
 もう少し言えば、「大規模経営の形成促進」という役割も当初は果たしていた。
・ EUのCAP(共通農業政策)は、2020年に改革が行われた。EUの直接支払いの本質は、
 環境要件を厳しくして、農業と環境の関係を強くしながら政策を強化してきたというこ
 と。農業予算を削る圧力に環境要件を強めることで抵抗してきたという歴史だ。
・ 日本では、食管制度以降、水田農業に使う予算を自ら削ってきたという歴史。1971年
 以降の水田農業政策の予算について、生産調整の目標面積は増えているにも関わらず助
 成金は減少。お金の裏付けがない中で、生産調整がなんとか続いてきた。これが日本の
 生産調整、水田農業政策を予算面から見た特徴。
・ EUでは、直接支払いだけではなく、再分配支払い制度という形で中小規模の経営ほど
 面積当たりの単価を増やすような仕組みを2013年改革で導入した。日本は予算の制約か
 ら、そうした政策転換をすることが出来なかった。
・ 日本の水田農業政策は基本的に安上がり農政で、なるべくお金を使わないような政策。
 予算の制約がある中で苦闘を続けてきた歴史。そして、予算の制約という問題は2000年
 以降も続いている。

2.2000年以降の水田農業政策の展開
・ 2000年以降、麦・大豆の本作化がスタート。麦・大豆に相当なお金が付き、担い手へ
 の農地集積につながることで、大規模経営は転作水田を拡大しながら規模拡大を進めて
 いった。
・ 生産調整に積極的な大規模経営に転作水田の集積を先行させながら、米価下落に対し
 ては、彼らを経営安定対策で支える。そして、生産調整に参加しない小規模な階層の脱
 落を待ちながら構造再編を進めていく。この路線が2000年以降、仕組まれてきた。
・ しかし、麦・大豆の本作化は、大規模経営で積極的に取り組まれてきたが、基金が枯
 渇する中で、財政の制約から政策の見直しを余儀なくされ、取りやめ。
・ その後、新しく登場した米政策改革は、勝ち組と負け組の固定化という問題を有して
 いた。産地づくり交付金は、生産調整に熱心に取り組んできたところには、たくさんお
 金が付く一方、生産調整にあまり熱心ではなかったところは、もらえる金額が少ない。
 生産調整を機能させるためには、生産調整にあまり熱心でなかった地域にもお金を付け
 ることが必要だった。
・ また、生産調整で作っている作物を把握しなくなったことにより、コメを作らない水
 田で何を作っているのか面積を把握できない空白期間が生まれ、その間、麦・大豆は増
 えず、自給率は上がらなかった。
・ 品目横断的経営安定対策における規模要件の導入により、転作のお金が補助金化し、
 助成金として目に見えるものになってきた。そして、助成金をもらうため、生産調整を
 維持するために、集落営農の設立が進められた。
・ そして、戸別所得補償制度によって、さらに補助金への依存度が高まっていった。と
 ころが、戸別所得補償では、1万5千円支払って米価が下がっただけで、コメの過剰下で、
 無理やりな政策を行うと、こういう懸案をはらむという実証だった。
・ その後、コメへの転作が本格化し、飼料用米への数量支払いが導入されたことで、現
 在に至っている。結局のところ、主食用米の優位性を減じて、これに米価の下落が加わ
 ることで、主食用米からのシフトを進めて、米価下落による収入減少から担い手を守り
 ながら小規模層の退出を図るというのが政策の基本的な方向だった。
・ 2018年度からの生産調整の廃止は、平穏な幕開けとなったが、コロナ禍による業務用
 需要の消滅で大変な状況を迎えることになる。業務用米は単価が安く、どの産地も業務
 用米に注目して単収を増やすと、生産量はトータルとして増え、米価の下落圧力になる。
 トータルとしてどうしたらよいかが問われることとなった。

3.水田農業政策が農業経営体に与えた影響
・ 一言で言えば、直接支払いの依存度がどんな経営体でも高まっているということだ。
 集落営農や大規模経営など、政策に乗り、麦・大豆を拡大した経営ほど、この生産調整
 助成金に依存しているという状況が現れている。転作助成金の水田維持支払い化が、こ
 の20年間で大きく進み、このはしごを外すことはもうできない。
・ コメの需給調整だけではなく、構造政策推進の後押しを今後の水田農業政策で行って
 いくという視点が必要だ。「儲からない水田は維持できない」という基本のもとで、長
 期的な視点から水田農業を考えなくてはいけない。
・ 現地調査あるいは2015年センサスでは、大規模経営・集落営農の経営継承が現場の切
 実な課題になっている。集落営農の法人化は進んだが、法人化しても後継者がいないと
 ころがほとんどだ。大規模な水田経営でも後継者がいなければ、大変なことになる。大
 規模経営の後継者の確保をどうしていくか、そして、大規模経営をいかにつぶさずに残
 していくか。少なくとも日本農業の縮小を食い止めるためにも、後継者の確保がどうし
 ても求められる。
・ 2020年のセンサスの状況ではぎりぎり持ちこたえていると思うが、5年後、10年後に
 大規模経営の脆弱性が表面化し始めると、日本農業は本当に危機的な状況になる。

(おわりに)

・ 農村振興・農業振興と農地保全の間を埋めるものとして、何らかの直接支払いが必要
 だ。生産調整助成金は、この役割をなんとか果たしてきた。儲からない水田の放棄は必
 然であり、しかし、それに歯止めをかける必要がある。
・ 転作助成金については、水田維持支払いという性格を強め、大規模経営ほど助成金の
 依存度が高くなっている中で、大規模経営を支える大きな役割を果たしている。
・ 長期的な視点から、水田農業を考えなくてはならない。コメの輸出は難しいところも
 あるが、日本のコメの品質は高い。パックご飯などを売りながら、食育と関連させなが
 ら、国内の需要を拡大していく。備蓄も考えていかなければいけない。しかし、基本は
 コストダウンの追求である。平場ではできると思うが、中山間地域をどうするか。対策
 が必要だ。
・ 法人化はゴールではない。法人化すれば、全て解決するかというとそんなことはない。
 法人化した後も、集落営農は後継者がいなくて大変だということを変えていかなければ
 ならない。対策が必要だ。大規模経営を含めて経営継承が今後の最大の課題になる。


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